2009年7月24日金曜日

【道州制】 経団連

  経団連の道州制提言は、机上の空論ですね。地方広域経営ができる人材は、現実の自治体職員を見る限り、皆無に等しいでしょう。ほとんどが「楽な人生」を求めて地方公務員になっています。

道州制にもっていく段階的な道筋を考えないで、抽象的な理想論を唱えても、単なるポーズになってしまうでしょうね。

うがった見方をすれば、できそうにもないテーマを取り上げて、はやしたて、経団連は国のために考えているとアピールできれば、それで一定の目的を達成できると考えているのではないかという気もします。

自民党も、霞ヶ関も、地方分権を道州制議論にすりかえたほうが、首長の反対も強く、課題への取り組みををずっと先送りできるという思惑があるのではないでしょうか。

地方分権をスピードアップしようと思うなら、経団連・橋下連合より、民主党案のほうが現実的だと思います。

2008年の年頭の経団連の挨拶で(ロイターによると)道州制による、税制などの事業環境の整備の推進という項目があり引っかかっていました。

道州制の導入に向けた第2次提言

(2)ー②真の住民自治を実現するために必要な権限と財源もあわせて備えるというものである。
(3)道州制の導入は、国と地方の役割や統治のありかた

13Pに
財源の少なくとも7割程度を、地方税を中心とした自主財源で賄うことができるよう、国・地方を通じた抜本的な税財政改革を行う。とあります。

先日の、軽井沢の夏季フォーラムでも参加メンバー(29人)の中の一人(名前は記憶していませんが)が、道州制と絡ませ、法人税率の下げで「ゴルフクラブの一本も買えるようになる」と話していたことが、本能的に「この道州制」には裏があるのではと感じてしまいました。

地方財源の作り方に財界が絡むとするならば、法人税率の低い所へ企業が集まるとも取れます。

一次提言

夏季フォーラム2009を軽井沢で開催
-「日本復活のシナリオ―少子化・高齢化・人口減少社会への対応」をテーマに

日本経団連(御手洗冨士夫会長)は23、24の両日、長野県軽井沢町のホテルで「夏季フォーラム2009」(議長=渡文明副会長)を開催した。同フォーラムには、御手洗会長、米倉弘昌評議員会議長をはじめ、副会長、評議員会副議長ら33名が参加。統一テーマに「日本復活のシナリオ‐少子化・高齢化・人口減少社会への対応」を掲げ、深刻化する少子化・高齢化・人口減少社会を見据えて、わが国が成長するために今から着手すべき施策等について、ヒト、モノ・サービス、カネの切り口から、活発な意見交換を行った。討議の結果は24日、「アピール2009‐日本復活のシナリオ 少子化・高齢化・人口減少社会への対応」として取りまとめ、公表した。

第1セッション「わが国経済社会の50年後の展望‐人材競争に勝ち抜く道」では、作家で経済評論家の堺屋太一氏が講演。歴史的視点から、文明や近代工業社会、知価革命が人口構造等に与えた影響や諸外国における出生率の動向などについて分析・解説した。その上で、初産年齢を引き下げることが出生率を高めるために有用であること、好老文化の創造や官僚組織改革の必要性などについて説明があった。

第2セッション「人財立国の実現‐人的資源の育成と活用方策」では、森田富治郎副会長、西田厚聰副会長がそれぞれ課題提起を行い、これを受けて堺屋氏を交えて人財問題について討議した。具体的には、少子化対策や外国人労働者の活用問題などの人材の「量」に資する対策と、人材育成や教育問題などの「質」にかかわる対策について、議論した。

第3セッション「潜在需要の開拓‐成長を牽引する技術や産業の可能性」では、三菱総合研究所理事長・東京大学総長顧問の小宮山宏氏が講演した後、榊原定征副会長が課題提起を行った。これを受けて小宮山氏を交えて参加メンバーが、新たな成長が期待される産業・技術や、アジアを中心とした外需を取り込む産業・技術などついて討議した。

第4セッション「あるべき国のかたちを目指して‐国・地方のあり方と磐石な税財政基盤の確立」では、大阪府の橋下徹知事が、知事の経験を踏まえて国・地方のあり方について講演した。その上で、池田弘一評議員会副議長が地方分権や道州制推進について課題提起を行うとともに、参加メンバーによる討議を行った。その後、税財政のあり方について、氏家純一副会長から課題提起を行うとともに、懇談した。

また、非公開討議として行われた「政治との関係」では、2009年の政党の政策評価を行う上での基本方針などについて議論した。

討議の結果、取りまとめられた「アピール2009」では、(1)グローバル化の進展と少子化・高齢化・人口減少という大きな社会構造変化のただ中にあって、わが国が中長期的な成長を遂げていくためには経済社会全般にわたる大きなイノベーションを進めることが必要である(2)新たな需要の開拓や生産性の向上など、経済基盤の強化・活性化に努めるとともに、成長著しいアジア等との連携強化を図ることや、行財政基盤を磐石なものとする必要がある――ことを指摘。その上で、政治がリーダーシップを発揮し、「人的資源立国の実現」や、「新時代に対応した戦略的な需要の開拓」「行政の抜本改革」「税・財政・社会保障の三位一体改革の推進」などの諸課題に不退転の決意で取り組むことを強く求めるとともに、経済界として活力ある経済と安心社会の実現に全力で取り組むとの決意を表明した